最愛から2番目の恋

 ブロディアス記は有名だ。
 テレサもテリオスと同様の事を言う。
 ガートルードは思う。
 白虎のティグルー家だけじゃない。
 それはきっと現状の不満が、4神虫獣家への……


「棺の周りの花に仕掛けられていたようで、業者や霊廟管理者、それと葬壇を飾り付けた者達も捕らえられて、事情聴取を受けているそうです。
 それとなんですが……」

 もうすぐ霊廟の外に、という地点で足止めを食らう。
 出入りの人数が多くて混乱するので、重傷者を先に通すように規制しているからだ。
 この場では1番身分の高い王太子妃を乗せている、と担架を持つ従者が主張しかけるのをガートルードは止めた。

 充分歩けそうなのに、担架が用意されただけでも居心地悪くて、一刻を争う重傷者より優先などされたくはない。


「助け出されたヴァルチの公女様が……
 最前列にいらっしゃったので、お顔にひどい火傷を負われてしまって……と聞きました」

「サレンディラ公女が?」

 
 美しい娘の姿を見せつけたかった浅はかな父親のせいで。
 サレンディラ・ヴァルチは……飛んできた火の粉に、直接その花の美貌を焼かれた……


 まだあどけない14歳の少女を襲った悲劇に、ガートルードはやりきれない怒りと悲しみを覚えた。