最愛から2番目の恋

  ◇◇◇


「ああぁ、神様ありがとうございます
 姫様をお助けくださって……
 国王王妃両陛下も、ご無事です……」

 わたしを助けてくださったのは、神様じゃなくて、テリオス様なんだけれど。
 とは、救助の担架に乗せられたガートルードはテレサには教えなかった。
 外の安全を確認する、と言い残したテリオスは、そのまま姿を消し。
 彼からの問いに答えられなかった。

 テレサはガートルードの気持ちを知っている。
 まだ彼女が何者でもなかった頃なら。
 ただのカリスレキアの第2王女だった頃なら。
 普通の娘同士の、友人同士のように、恋の悩みも相談出来た。

 ガートルードがテリオスへの思慕を語れば。
 テレサはそれに対して、同意や反対や、からかいさえした。
 その彼女に、姿を変えてカリスレキア国王の侍従としてアストリッツァに来たテリオスの事は、まだ話せていない。

 そんな時間も取れぬまま、納体の儀式は始まって。
 規模は小さいけれど、爆破騒ぎが起こったのだ。



「外ではどんな様子なの?
 犯人は分かったの?」

 足下の危ないなか、担架の側で寄り添い歩くテレサを見上げて、ガートルードは尋ねた。


「ちらほら聞こえる話では、未だにティグルーを信奉する者達が居るとか……
 例の、ブロディアスの乱でしたね、あれから何年経っていると……」