最愛から2番目の恋

「このまま、あの王太子のお飾りの正妃として。
 ここにとどまって……貴女は幸せになれる?」

「……」

「こんな場所で尋ねる内容ではないと分かってるけど…… 
 ですが、今答えて欲しい。 
 貴女は既にクラシオンを愛していますか?
 そうであるなら、俺は……」

「……テリオス様、わたしは……」その問いに答えようとした時、ガートルードを探す声がした。



「姫様、姫様!
 ご無事でしょうか! テレサです!
 どうか、お返事を! 姫様! テレサです!」

 儀式には出席しなかったテレサが、騒ぎを知って駆けつけてくれたのだ。
 外部からの救助も始まって、入場規制をかいくぐって。
 危険なのに、中まで探しに来てくれたのだろう。


 テリオスも、その声を聞いて。
 ガートルードの身体に回していた手を外し、テレサが居る方向に向けて、大声をあげた。


「こちらです!
 ここに! 王太子妃殿下がおられます!」


 王太子妃殿下と呼ばれることに、最近は慣れてきて。
 自分でもそれらしく振る舞えるようになっていた。

 けれど、テリオスから自分の事を、『お飾りの正妃』や『王太子妃殿下』と口に出されると、どうしてこんなにも胸が痛いのか。