最愛から2番目の恋

「ブロディアスが提唱した富国強兵策を国王が……
 それで、不満分子が見せしめに王妃の遺体を吹き飛ばした、か。
 それと簒奪者の子孫に追従する裏切り者の、出席者の心胆を寒からしめるために出入口を封鎖しようとしたが、悲しいかな、資金が乏しくて想定していた量の火薬は用意出来なかった……」


 ガレンツァに向かう馬車の車窓から見えた光景を思い出した。
 王族を見ても少しも熱意の無い、あの雰囲気を思い浮かべる。
 それはカリスレキアの国民からは感じたことの無い空気だった。
 

「ここから直ぐに反乱や革命とまでは行かないだろうが、もしかしたら、これがきっかけで4神虫獣家時代が良かったという懐古主義者が台頭してくるかも知れない。
 ガートルードはこのまま、逆風のアストリッツァにとどまるつもりですか?」

「え……」