出口の方の消火が終わったようで、外部からの救助が始まり、ようやく現場のパニックも治まりかけている。
人々が周囲の状況を把握しようと、お互いに声掛けをして手を取り合い始めた。
人波が落ち着きだしたので、テリオスはガートルードを下ろし、床にあぐらを組んで座り……
何と、再びガートルードをその上に座らせた。
先程まで抱きかかえられて、彼の腕の中にいることに、泣きたくなったのに。
それよりも更に、密着度が上がっている。
「ごめん、少し痛いかもしれないけど」
自分では気付いていなかった。
テリオスがハンカチーフを出してきて、ガートルードの頬を拭いたので、ひりりと痛みを感じた。
「石つぶてが当たったんだな。
切れてるけど、深くはないから跡には残らないよ」
今の状態は、テリオスの体全体で自分が囲い込まれているように感じて、心臓が止まってしまいそうだ。
彼が切れた頬を拭いてくれたハンカチーフも見せてはくれないが、きっとガートルードの血と泥で汚れているだろう。
それが申し訳なくて、後から御礼に綺麗な絹のチーフを贈ろうと決める。
彼は単に、わたしを人混みから守ろうとしてくれているだけ。
身内以外の男性からの優しさに慣れていないガートルードは、自分にそう言い聞かせた。
人々が周囲の状況を把握しようと、お互いに声掛けをして手を取り合い始めた。
人波が落ち着きだしたので、テリオスはガートルードを下ろし、床にあぐらを組んで座り……
何と、再びガートルードをその上に座らせた。
先程まで抱きかかえられて、彼の腕の中にいることに、泣きたくなったのに。
それよりも更に、密着度が上がっている。
「ごめん、少し痛いかもしれないけど」
自分では気付いていなかった。
テリオスがハンカチーフを出してきて、ガートルードの頬を拭いたので、ひりりと痛みを感じた。
「石つぶてが当たったんだな。
切れてるけど、深くはないから跡には残らないよ」
今の状態は、テリオスの体全体で自分が囲い込まれているように感じて、心臓が止まってしまいそうだ。
彼が切れた頬を拭いてくれたハンカチーフも見せてはくれないが、きっとガートルードの血と泥で汚れているだろう。
それが申し訳なくて、後から御礼に綺麗な絹のチーフを贈ろうと決める。
彼は単に、わたしを人混みから守ろうとしてくれているだけ。
身内以外の男性からの優しさに慣れていないガートルードは、自分にそう言い聞かせた。



