最愛から2番目の恋

 混乱の余り、貴方と呼び掛けそうになる。
 ホッとしたように微笑むテリオスから、どこか痛むかと尋ねられて、打ち付けた背中と腰が酷く痛むが、もう少しこのままで居たくて、ガートルードは黙っていた。


「今は皆が出口に殺到してる。 
 周囲の花に仕込まれていた少量の火薬で棺は吹き飛ばされたが、霊廟だからか造りはしっかりしていて、建物自体にはそれほど被害はないみたいだ。
 爆発はもう無いだろうし、幕も花も燃え尽きて火事にはならなかったから、少し落ち着くまでここに居よう」

「……承知致しました」

 頭上からは細かい石の欠片が幾つも幾つも落ちてきて。
 いつ天井が崩れてくるかも分からない、この状態で。
 こんな状況の中でも落ち着いているテリオスに抱かれたまま、全てお任せしようとする自分。
 それと……いつも距離を感じていた彼の丁寧な言葉遣いではない事を喜ぶ自分は、愚かな女だと思う。


 けれど、本当に今日まで疲れていた。
 ひとりで強がって、それが限界まで来ていた。
 今は、今だけは……
 この混乱の中で、わたしを見つけてくださった貴方にお任せして……
 今だけ、少しだけでいいので、甘えさせて貰えたら。