最愛から2番目の恋

 人々は広くはあるが暗い霊廟に閉じ込められた恐怖で、パニック状態になった。
 狂ったように、ただただ前へ前へと押し合って、誰もが逃げ場を失って叫び、泣きわめいている。
 逃げ遅れた者達がひしめく霊廟内は、阿鼻叫喚の様相を見せていた。


 最前列の左端に座っていたガートルードは、王妃の棺が弾けた最初の爆風で吹き飛ばされた。
 一瞬で広がった炎と煙に巻き込まれる事は無かったが、石壁に身体を打ち付けられて、床に崩れ落ちた。
 体を丸めて、お腹を守る体勢を取りたいのに、麻痺したように体は動かない。

 あの場所に居て五体満足なのは奇跡的だが、このままでは足元など意識しない皆に邪魔なのは明白だ。
 乗られ、蹴られ、踏みつけられて、大怪我どころか死んでしまう、父様と母様は? テリオス様は? と大切な人達の安否も心配で動かなくてはならないのに、全身の痛みに唸るばかりで立てそうもない。
 

 
 破壊音や悲鳴が渦巻く中でも、誰かが誰かの名前を大声で呼び、助かったのかと叫んでいる。
 逃げ惑う大勢の中で、多くの人がひしめき合い、罵り合っても、誰かの大切な誰かの名前が聞こえる。