最愛から2番目の恋

 居並ぶ彼等の中央、1番前に立つヴァルチ家の3人の前に、ガートルードは立つ。
 背後からは目前を塞がれたステファノの苛立ちが伝わってくる。

 それが可笑しくて、ガートルードは背筋を伸ばして、前を向く。
 正式の婚姻はまだだが、1年後には彼女は王太子妃だ。
 アストリッツァの国王陛下も王太子殿下も居ない今、1番身分が高いのは、口先だけでも妃殿下と呼ばれるガートルードのはず。



 憎むのなら、幾らでも憎め。
 王都に戻れば、クラシオンは責任を持って帰してくれると言った。
 その約束は必ず守る、と。


 今日はまだ帰国しない。
 けれど、この儀式が済み、王都に戻ったら。
 わたしはとっととカリスレキアに帰国して、後は知らない。
 あのクラシオンなら、婚姻予定を白紙にして、軍縮して、国政を建て直す努力をするだろう。
 そして、彼の隣にはマリツァが居て。
 運命の番のラシィとマリィで、アストリッツァを盛り立てていって欲しい。


 そして、わたしは『カリスレキアの醜い方の姫』に戻り。
 クロスティアの国王になったテリオス様には会えなかったなぁと少しだけ、いや大いに残念に思うのだ。