最愛から2番目の恋

 それにマリィの事だって。
「好きだと何度も言われたから」だって?
 馬鹿じゃないのか、無自覚なのか。
 言われたからだけで、10年も演技であのいちゃいちゃを続けられる訳がない。
 26にもなって、自分の恋心にも気付かない馬鹿野郎が。


 皆の前で懐妊したと言い出したマリィは、嘘をついてこれからどうするつもりだったのか。
 ガートルードを牽制したかったのだろうけれど、ご心配なさらずとも、わたしはこんな男は好きにはなりませんよ、と次に会ったら言ってやる。


 本当に、こいつはポンコツじゃないか?
 この歳になるまで流されるままに来て、不器用なんてレベルじゃない。
 お前は、子供の頃から人生をやり直せ。


 ガートルードは半ば呆れながら。
 不甲斐ない夫の臀部は叩けないので、代わりに背中を叩くことにした。

 自分が叱っていた相手から、急に背中に一発。
 気合いを入れられて、クラシオンが飛び上がる。
 自慢じゃないが、ガートルードは手が早いのだ。



「何だっ、お前は!?」
 
「今、貴方が気に掛けるべきはわたしではないでしょう!
 最愛様は懐妊していると、多くの人達の前で言ってしまった。
 もし、ヴァルチ公が貴方の正妃の座を狙っているのなら、貴方が居ないこの機会に、先ずは貴方の御子を身籠ったと公表したマリツァ様を狙うのでは?
 西の離宮の警備は万全なのですか?」

「マリツァが狙われる……?
 この10年、彼女は無事だったのに?」