最愛から2番目の恋

「けれど、彼女はなかなか王太子妃と認めて貰えなかった。
 高位貴族の養女になれなかったのは、ヴァルチが妨害をしていたからですね。
 それでも、10年以上経ってから、今回何故わたしに縁組みの話がきたのです?
 今以上に軍備にお金を掛けるため、ですよね?」

「親父は、な。
 国を富ませるためには兵を強くしろ、のブロディアスの教えを守りたかったみたいだが、もうそんな時代じゃない。
 北のグーレンバイツ皇帝が言い出したんだったよな、
『国を豊かにしたいなら、遠くにちょっかいを掛けたりせず、足元を固めろ』って。
 その通りだと俺も思う。
 現に今でもアストリッツァだけが剣を振り回していて、他の国からは、まともに相手にされていない。
 内政だってガタガタだし」

 最初固かったクラシオンの口調は、どんどん普通になって。
 まるで友人に話すように、言葉遣いも青年らしい自然なものとなっていて。
 実は、ガートルードも『わたくし』ではなく、『わたし』と口にしていたが、彼女本人は気付いていなかった。