私の名前は雪音(ゆきね)雪の降る日に生まれた、そんな単純な由来。

「五センチくらい〜積もってたよ〜」
酔ってるせいか、語尾が伸びてた。

「雪音〜寝てた?」
駿佑の息からアルコール臭がする。

「うん」

「元気だった?」
そう、私の顔を覗き込むように彼の顔が近づく。

「まぁね」
私はすぐに視線を反らした。

「飲み過ぎたかな……」
ボソッと駿佑はつぶやいた。

「おみやげ」
そう言って、彼は満面の笑みで雪を丸めた……雪玉を渡してきた。

小学生みたいな顔をして。

「エッ?ちょっと駿佑!!」
なに?冷たいっ❢

雪合戦でもしてきた?飲み友達と。

千鳥足でふらつきながら彼は歩いていく。

「え?なに?」
私は慌てた。

玄関に向かって歩く、雪玉を外に出そうと。

「あ~それ大事だから~ほんとに〜マジでダメダメ〜外はダメ」
彼はニコニコしながらそう言って、私を制した。

ソファーに駿佑は座った。

何が何だかわからない。

雪玉をとりあえず台所のシンクに置いた。

「だいぶ酔ってるね」
困って言った。

そんなに酔って大丈夫なんだろうか?

私はお酒飲んだことないからわからない。

「何かさ〜久しぶりだよねーね〜」
相当酔ってるなぁ。

「何かあった?」
珍しいので聞いてみた。

家は近いけど、駿佑が突然訪ねて来ることは少ない。

「うん」
彼はソファーに寝転がった。

「恋っていいよね〜」
楽しそうに言う駿佑に何だか複雑になる。

私は冷蔵庫から水を取り出して、グラスへと注ぐ。


もしかしたら、一週間前くらいに駅の近くで見かけた女の子のことかな。


髪がフワフワでスタイルが良く美人だった。

笑顔で駿佑と二人きりで親密そうに話してた。

やっぱり聞くべきだよね。

モヤモヤしてるくらいなら。

言うか言わないかこの一週間悩んだ。




「あのさ、この前見かけたんだけど」
グラスをテーブルへ置いてそう言いかけた。

彼に視線を移すと、ソファーで眠ってしまっていた。

私は毛布を持ってきて、彼にかけた。