「わーっ、見て、たこ焼き!」
「わたし、ヨーヨーやりたい!おかーさん、いい?」
「はいはい、しょうがないなぁ」
ワイワイと、にぎやかな人並み。
屋台の明るさ。
なぜか、食べ物の匂いまで運ばれてくる。
「『祭り』……ですか?」
「ああ、うん……まあ、そうだな」
なぜか玲音がおかしい。
目を逸らして、片手を額に当てている。
ハッとして私の姿を見ると、
驚くことに浴衣姿になっていた。
「え⁉︎ 何これ、いつのまに」
「『祭り』に行く際は浴衣になるよう設定したが、
……まさかこんなに似合っているとは……」
「?」
最後の方は喧騒によって聞こえなかった。
それにしても、ともう一度見下ろす。



