「おはよう」
今夜も、目を覚ました美夜に笑いかける。
あれから毎晩、美夜は『夢界』に来るようになった。
「……」
無言で起き上がった美夜が、ちょいちょい、と俺の服の裾を引っ張ってきた。
そして裾を掴んだままいつもの場所へ歩き出す。
俺は気づかれないようにクス、と笑った。
無言で引っ張っていくの、面白すぎるだろ。
そしてテラスに出て、白いベンチに並んで座った。
毎回ホールで話すのもどうかと思い、俺が紹介した場所だ。
初めて見せた時には、空に広がる星空に目を輝かせて「わ……」と感嘆していた。
いつもの無表情からは想像できないほどの子供らしさに驚きつつ、新たな一面が知れて嬉しかった。
そして最近、俺は美夜に現実でのことについて聞く。
現実の事を知る手段がつかめて嬉しい限りだ。



