「色々と聞きたい事があったのだが、そろそろ美夜の時間がきたらしい。またな」 驚いた顔をしていた美夜が、だんだんと霞んで消えていった。 また、一人取り残される。 また、静寂が『城』を包む。 久しぶりの話し相手が来て楽しいと思った分、慣れているはずなのに寂しいと思ってしまう。 「……また来るかな、美夜」 高い天井の方に顔を向けて、思わず呟いていた。 誰かが来るのを楽しみに思ったのなんて、 いつぶりだろうか──。