眠り王子と夢中の恋。




「色々と聞きたい事があったのだが、そろそろ美夜の時間がきたらしい。またな」



驚いた顔をしていた美夜が、だんだんと霞んで消えていった。

また、一人取り残される。

また、静寂が『城』を包む。

久しぶりの話し相手が来て楽しいと思った分、慣れているはずなのに寂しいと思ってしまう。



「……また来るかな、美夜」



高い天井の方に顔を向けて、思わず呟いていた。

誰かが来るのを楽しみに思ったのなんて、
いつぶりだろうか──。