そして今日も、玲音の質問に答えていた。
「へえ、美夜は明日から夏休みなのか!一日中寝たりはしないのか?」
「しませんそんな無駄なこと。
夏期講習が入ってますし」
即答すると、玲音はなぜか残念そうな顔をした。
「一日中美夜と話せるチャンスなのに……」
「……はい?」
なんだかよからぬことを呟いていたような。
「ああいや、夏期講習……って塾、だよな?毎日行くのか、大変だな」
「……つらくはないです。勉強をすることは苦ではありません」
「なるほど……。美夜は、友達と出かけたりしないんだな」
「……友達なんて」
友達なんて、いません。
そう言いかけた言葉を慌てて飲み込んだ。
すると鐘が鳴り、
「じゃ、また明日な」
「……はい」
現実へと引き戻されていった──。



