ここは、夢の中の世界、『夢界』なんだ。

本来なら、人は夢の中では自我がなく、起きたら夢の中の出来事は大体忘れてしまう。

でも、そうではないところがあるんだ。
それがこの世界。

この世界では、したいことが全てできる。
もちろん、場所もたくさんある。
今いる場所は『城』というところだ。


今から言うのは『夢の世界の説明書』に書いてあった事。

『城』を探索していたら戸棚から見つけたものだ。


ここはずっと真夜中の世界で、太陽が昇らない。
ただ、天気はその日によって変わる。
月は三日月にしかならないんだとか。

何かは分からないけど、この世界にはある理由のある人が紛れ込むらしい。

俺も美夜も、なんらかの理由があるんだろう。


ただ、美夜は朝になって現実の自分が起きようとすれば、鐘が鳴って強制的に引き戻される。

しかし、俺は鐘が鳴ったことがない。
しかもここにくる前に現実で何をしていたか何も覚えていない。

とにかく、3年ほど現実に戻れていないんだ。

自力で出る方法も探したが見つからなかった。

だからずっとここに留まっているという訳だ。