「んん……っ」



はっと目を覚ますと、そこはもうベッドの上だった。

体を起こし、時計を見る。
丁度9時頃だった。


待って。今のは、夢だったってこと……?
けれど、会話も鮮明に覚えている。

床の冷たさまで覚えているのだから、夢でない事は確かなのに……。

連れ去られていたわけではなかった?
タイムスリップ?瞬間移動?異世界に飛んだ?

ああ、今日は本当に色々な事が起こる。



「……玲、音」



なんだかもう一回寝る気になれなくて、兄が作った弁当を持ってきて置いてから椅子に座って参考書を開いた。