「み、や?」



しばらく口を閉ざしている。
眉を顰めているように見える。

高校で自己紹介した際にあまり聞かないと言われたけれど、そんなに珍しいのだろうか。



「……何か?」



沈黙した空気に耐えられず、仕方なく口を開く。



「ああ、ごめん。……どう書くんだ?」

「美しい夜です」

「美しい夜、か。なんだか君に合ってるな」

「……」



どこが?と言いそうになる。

美しいなんて、不釣り合い。



「俺は玲音(れおん)という。王に号令の令と、音」

「玲音さん……」