「おい」

「⁉︎」



誰もいないと思っていたのに突然後ろから声が聞こえ、思わずビクリと肩を震わせてしまう。

振り返ると、若い男がじっとこちらを見ていた。


端正な顔立ちをしていて、身長は私より少し高い。

長袖のシャツにパンツを合わせ、涼しげな目元の大人びた印象だ。

この人が、私を連れ去ったのだろうか?
思わずはっと身構える。

すると、男性は心の底から疑問に思った表情で口を開いた。



「君……、どうしてここにいるんだ?」

「……」



そんなのこっちが聞きたい。

じゃなくて、そう聞いてきたということはこの人が連れ去ったわけではないのか。



「名前は?」

「……美夜」



下の名前だけでも答えておく。