「ん……」
頬にヒヤリと冷たい感触があり、目を開けた。
朦朧としていた視界がだんだんとはっきり見えてくる。
私は、広い部屋のような場所に一人で転がっていた。
夢……?でも、意識がはっきりとしている。
こんな夢は初めてだ。
目を覚ましたのだろうか?
だとしたら、なぜこのような場所にいるのか……。
──誰かに、連れ去られた?
最悪の想像に慌てて立ち上がり、改めて部屋の中を見回す。
とにかく広い。
天井が私の部屋の倍以上はあるほど高く、シャンデリアにはロウソクが灯っている。
窓はなく、部屋全体は少し薄暗かった。
何かのホールなのだろうか。そう思えるほど広い。
もし連れ去られたのだとしたら、謎に豪華な部屋だ。



