何か思いついたのかなと思った瞬間、隣に座る玲音が顔を覗き込んできた。

なんだろう、と思う間もなく玲音の顔が近づいてきて──

 
──唇が重なった。


「!!!」

ゆっくりと離れていく玲音の端正な顔。

唇に残る温もり。

顔が徐々に熱を帯びていくのが分かる。

玲音を見ると、少し切長の整った目が弧を描き、いつものフワリとした笑みをつくった。

「ハピバ、美夜。俺からの誕生日プレゼント。まぁ、初キスは取られちゃったけどな」

「初キス……ってえ、え⁉︎」