「あの事故の時、美夜の方に迫ってる車を見て反射的に突き飛ばしていた。
美夜が助かってくれればそれで良かった、なんておかしいんだよな、きっと」

苦笑してる玲音に一瞬視界がぼやけそうになった。

「ばか玲音」

「え?」

「自分のこと大事にしてくださいよ……っ」

とうとう、頬を涙がつたっていく。

目覚めないってどれほど心配で寂しくて不安に押し潰されそうなのか。

玲音は全く分かっていないんだ。

すると玲音がハンカチを持った手を伸ばし、私の頬を包み込んだかと思うと涙を拭った。

優しい手つきでさらに涙が溢れ、「あーあ」と笑いながらまた拭いてくれた。