すると、玲音は私の頭に手を置いてきた。

「ありがとな、姫。目を覚まさせてくれて。……眠り王子は本当に口づけで目が覚めるんだな」

そしてイタズラっぽく笑う。
 
「私も信じてなかったですし、目覚めなかったらどうしようかと思いましたけど」

「本当だよな。もし何も起こらなかったらどうするつもりだったんだ?」

「私も寝ます!」

「なんでだよ」

二人で笑い合う。

当たり前みたいなことって、意外と特別なんだろうなって改めて感じている。

……いやきっと、当たり前なことなんてないよね。

誰かが当たり前だと思ってることは、他の人にとって手の届かないことなのかもしれない。