「美夜」

振り向くと、車椅子に乗って笑う玲音がいた。

「大丈夫……?」

「約3年寝たきりだったからな。さすがに足には力が入らなかった」

車椅子からベンチに移動しながらクスッと笑う玲音。

「あの、夢の中の出来事って」

「もちろん本物だよ。俺もしっかり覚えてるから。目覚める直前、美夜の声が聞こえたんだ」

「え……?」

「『そろそろ目覚める時間だよ』って。
その瞬間に世界が歪んでいって、気がついたら目の前に姫の顔があった」

「ひ、姫って」

思わず恥ずかしくなる。

「だって、そうだろ?俺のことを玲音王子と呼んだのはどこの誰だよ」

「うっ……」