眠り王子と夢中の恋。

「急にごめんね。
 一人だとなんか寂しくて、来ちゃった」

そう言っていたずらっ子のように笑う璃來さん。

その時、仕事に行く格好の母が二階から降りてきた。

今日はいつもよりも遅く出ていくらしい。

「おはよ〜。あら璃來ちゃん、来てるのね」

「お母様、お久しぶりです!」

「やだ、普通にお母さんでいいわよ〜。
 私はこれから仕事に行かないといけないから、弘志さんと夏海さんと弟くんによろしく言っておいてね」

そう言うと慌ただしく家を出て行った。

私はしばらく思考回路が止まる。

璃來さん、弟いたの⁉︎
ていうか璃來さんと母ってそんなに親しかった?

「私の母と父、実は美夜ちゃんのお父様が経営していた会社で出会ったの」

そう言いながら兄の隣に腰を下ろす璃來さん。

話が長くなりそうだと思い、私も近くの椅子に座った。