方向転換すると、パシッと手を掴まれた。

「えっと……?」

「これ、あげる」

そう言って手渡されたのは、
ラッピングされた袋に入った桜の香水。

香水のお店の前を通った時、ショーウィンドウに並べてあり私がほしいと思った物だ。

「鈴崎さん、これじっと見てたから。
 鈴崎さんがお手洗い行ってるときに買っといたんだけど……気に入らなかったら使わなくても、」

「すごく嬉しいです……!
 使いますよ、絶対!」

驚いた後、朝霧くんはニコッと笑った。

「ありがと、嬉しい」