「あ、おかえり美夜」
家に入ると、リビングの方から声がした。
見ると、兄──鈴崎伊織が台所で食器を洗っていた。
「……」
私はこくり、と頷くと自分の部屋へと向かった。
私と兄の母、鈴崎玲奈は朝から晩まで会社で働くキャリアウーマンだ。
朝早くから出て行って夜遅くに帰ってくるので顔を合わせない日の方が多い。
けれど、忙しくストレスも溜まっているはずなのに愚痴なども一切言わない。
私と兄はそんな母を優しい性格だと思うし、尊敬もしている。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…