眠り王子と夢中の恋。

「ごめん、なさい」

目の前の朝霧くんの目が少し大きくなった。

「朝霧くんのこと、本当に優しいなって思います。こんな私にたくさん話しかけてくれて、すごく嬉しかったし楽しかったです」

「うん」

「でも、好きとは違くて。中途半端に朝霧くんと付き合えないから、だから……」

私が朝霧くんに伝えたい本当の気持ち。
 
『付き合えなくてごめんなさい』じゃなくて。

「私の事、好きになってくれて、ありがとう」

私は、感謝の気持ちを込めて朝霧くんに笑いかけた。
 
好きになってくれて、気持ちを伝えてくれた。

そのことに『ありがとう』を伝えないといけない。