眠り王子と夢中の恋。

「今でも思う。その人はどうしているんだろう、と」

「っ、」

「俺が急に現れなくなって、心配していないかな」

そんなに、

「俺がそんなに愛した人は、誰なんだろう」

そんなに大切に思っているんだ。
今でも。

「会えると、良いですね」

「ああ、そうだな」

玲音は誰かに微笑みかけるように笑った。

その『誰か』は、私じゃない……。

息が苦しくなってきた時に鐘が鳴り、よかったと心から思った。

──あのままだったら、
何かに押しつぶされそうだったから。