惚れさせゲーム

〇 ダンスパーティー会場・夜
会場の扉が開くと、煌びやかなシャンデリアが天井からきらきらと光を放ち、華やかな音楽が響き渡る。
シックな装飾が施されたホールには、華やかなドレスやタキシードを身にまとった生徒たちが集まり、談笑しながらグラスを片手に過ごしている。

その中、少し緊張した様子で一歩を踏み入れた三峰紗菜は、周囲の華やかな雰囲気に圧倒されながらも、
心の中で少しずつ勇気を振り絞る。

桃羽(にやにやしながら)「いやぁ~、やっぱりこのドレスにして正解だったね! ほら、みんな紗菜のことガン見してるよ!」

紗菜(苦笑しながら)「……正直、ちょっと落ち着かないよ」

ワインレッドのドレスが、会場の照明を浴びて艶やかに揺れる。その華やかな装いに、普段の制服姿とは全く違う紗菜の姿に周囲の視線が自然と集まる。彼女の心臓が少しだけ早く鼓動を打ち始めた。

その時——

翼(軽やかに近づきながら)「へぇ……すげぇな」

いつものように軽口を叩く翼だが、その声にはほんの少しだけ感嘆の色が混じっている。
タキシード姿の桃瀬翼は、普段のラフな服装とは違い、きちんとした正装が意外にもぴったりと似合っている。

紗菜(少し驚きながら)「……え?」

翼(軽く口笛を吹いて)「いや、まさかここまで決めてくるとは思わなかったよ」

紗菜(じと目で)「失礼ね。私だって、やるときはやるのよ」

翼(ニヤリと笑いながら)「おお、それなら楽しみだな。じゃあ、その実力を見せてもらおうか?」

その言葉とともに、翼は軽く手を差し出す。
優雅に、まるで決められた舞踏会の一幕のように、手のひらを上に向けて誘ってくる。

翼「お嬢さん、俺と踊ってくれる?」

その瞬間、会場が少しざわめいた。
誰もがこの二人の対決を楽しみにしていたかのように、期待と興奮の色を深く感じる。

紗菜(ふっと息をついて、少し微笑んで)「……もちろん。勝負だったわよね?」

その言葉を受けて、紗菜はゆっくりと翼の手を取り、ホールの中央に向かって歩みを進める。
二人の動きに合わせて、周囲の生徒たちが少しずつ輪を作り、その視線を注いでくる。

音楽が穏やかなメロディーを奏で、二人は息を合わせてステップを踏み始める。
一歩一歩、躍動感のあるリズムに乗って、二人の身体が自然に調和を見せる。

踊るごとに二人の距離が縮まり、その動きはますます一体感を増していく。
まるで二人が一つの生命を共有しているかのように、音楽が二人を繋げ、会場全体を包み込んでいった。

その瞬間、紗菜は一瞬だけ翼の目を見た。
彼の眼差しには、普段の軽薄さとは違う、真剣さと尊敬のようなものが込められているのを感じる。

そして、音楽が一段と盛り上がり、二人の動きはますます華やかに、激しくなる——。