惚れさせゲーム

〇 ダンスパーティー準備(数日後)
ショッピングモールで素敵なドレスを選んだ後、紗菜はその日から数日間、ダンスパーティーの準備を進めていた。
その夜、彼女は突然、あることを思い出す。

自分の部屋でドレスを広げながら、紗菜は何気なくカレンダーを見た。そこで、ふと気づく。

紗菜(内心で驚きながら)「えっ、今度のダンスパーティーって……あいつの誕生日だ!」

驚きと同時に、心の中で何かが跳ねる。
そういえば、彼女はその日が翼の誕生日であることをすっかり忘れていた。パーティーのための準備が頭の中でいっぱいになり、いつの間にかそのことが抜けていたのだ。

でも、今気づいたからには、どうしても何か特別なことをしたい。
パーティーは彼のために開かれるものだと、何度も考えたはずなのに。

紗菜(焦りながらも、決意を新たに)「誕生日、プレゼント、何を渡すべき……?」

考えながらも、ふと浮かんだのは、翼の好きなこと。彼はいつも穏やかで、特に物欲が強いわけではない。
それなら、何か心のこもったプレゼントがいいだろう。

紗菜(考え込んで)「何か、心に残るもの……」

紗菜はすぐに、プレゼントを選びに行くことを決心する。
彼に何かを贈るということに、少し緊張しながらもワクワクしていた。

翌日、紗菜は桃羽と一緒に、翼に贈る誕生日プレゼントを選ぶためにショッピングモールへ向かう。
二人はそれぞれのショップを巡りながら、紗菜が翼に似合いそうなものを探していった。

桃羽(嬉しそうに)「おー、今度の誕生日プレゼント、めっちゃ気合入ってるね! 何に決めるか、すごく迷うだろうけど、絶対に素敵なものを選んでね!」

紗菜(少し緊張しながら)
「うん……でも、翼って、物よりも気持ちを大切にするタイプだから、プレゼントに悩んじゃって」

桃羽(頷きながら)「それなら、何か実用的なものがいいんじゃない? たとえば、最近流行ってるおしゃれな時計とか!」

紗菜は店内を見渡しながら、その提案に耳を傾けるが、すぐに首を振る。

紗菜(思案しながら)「うーん、どうかな。あいつって、時計とかはあんまり使わなさそうだし……もっと、彼が好きそうなものがいいな」

桃羽がちょっとだけ考え込んでいると、ふと目を引いたのは、店の奥に飾られている、精巧なデザインのレザーのノートだった。

桃羽(指差しながら)「あっ! これ! 見て、桃瀬、きっとこういうの好きそうじゃない?」

紗菜はそのノートをじっと見つめ、しばらく考えた後に、静かに頷く。

紗菜(微笑んで)「うん、これ、いいかも。レザーの質感も高級感があって、でもあまり目立たない感じで、翼にはぴったりだと思う」

桃羽(ニヤリと)「絶対喜ぶよ! それに、手書きのメッセージを添えたら、さらに素敵になるし!」

紗菜はそのアイデアに目を輝かせる。
レザーのノートに、心のこもった手書きのメッセージを添えることで、思いが伝わるはずだと確信した。

その後、紗菜はそのノートを購入し、丁寧に包装を依頼する。
プレゼントが手元に届いたとき、彼女は心の中で、どんな言葉を添えればいいかを考える。

紗菜(心の中で)「……ありがとう、そして、お誕生日おめでとう。」

そのメッセージを書きながら、彼女はこれまでの数ヶ月を思い返す。
翼と過ごした日々、楽しい瞬間、時にお互いに支え合いながら乗り越えてきた困難。

今、このプレゼントに込めるのは、何よりも「ありがとう」の気持ちだった。

誕生日当日、パーティーの準備が整った会場で、紗菜は翼にそのプレゼントを渡す瞬間を思い浮かべながら、
胸の中でドキドキとした期待を感じていた。