〇 学校・体育館(放課後)
放課後の体育館。空気が少しひんやりしてきた頃、紗菜はステップの練習をしていた。
ふと、背後から声がかかる。
翼「おい、三峰」
振り向くと、翼が腕を組んで立っている。
紗菜(少し驚きながら)「何よ?」
翼(ニヤリと笑って)「せっかく練習してるんだから、俺と一緒に踊ってみるか?」
紗菜(眉をひそめて)「何言ってんのよ、急に」
翼(肩をすくめながら)「いや、せっかくなら本番の前にお前がどれくらいできるか見たくてな。お前、案外悪くない踊りしてるし」
紗菜(警戒しながら)「……そんなこと、別にどうでもいいでしょ」
翼(無邪気に)「いやいや、やってみろよ。ほら、どうせならいい練習になるだろ?」
紗菜はしばらく悩むが、やがてため息をついて一歩前に出る。
紗菜「仕方ないわね。少しだけよ、いい?」
翼(ニヤリと笑いながら)「お、さすが三峰。じゃあ、行くぞ」
曲が流れ始め、二人は向き合う。紗菜は少し緊張した様子で足を踏み出すが、翼のリードに合わせるように動き始める。
最初はぎこちなかった二人のダンスも、次第に息が合ってきた。
翼の軽やかなステップに合わせて、紗菜も少しずつリズムに乗る。
翼(リードしながら)「そうそう、そこだ。意外といい感じだな」
紗菜(照れくさそうに)「うるさい、言うほど簡単じゃないわよ」
次第に二人の動きが滑らかになり、息もピッタリ合ってきた。紗菜は楽しそうな表情を浮かべ始める。
翼(楽しそうに)「なかなか上達してるな、三峰」
紗菜(少し照れながら)「……少しはやるでしょ」
そして、曲が終わると同時に、紗菜はそっと翼の手を振り払った。
紗菜(少し息を整えながら)「……別に、悪くはなかったわ」
翼(得意げに)「だろ? 俺のリードが完璧だったからな」
紗菜(ムッとして)「違うわ。私がちゃんと踊れたからよ」
翼(ニヤリとしながら)「へぇ、じゃあ次はお前がリードしてみる?」
紗菜は一瞬、言葉に詰まる。ダンスの基本は覚えたが、リードするのはまた別の話だ。
そんな紗菜の反応を見て、翼はクスッと笑う。
翼「ま、今のままじゃ俺には勝てないってことだな」
紗菜(悔しそうに)「……まだ勝負は終わってないわ」
紗菜は再びスマホの曲を流すと、練習を再開した。
一人での練習は先ほどよりもぎこちないが、それでも懸命にステップを踏む。
その姿を、翼は腕を組んで見守っていた。
翼(ぽつりと)「本当に努力の人だよな、お前は」
紗菜(聞き取れず)「え?」
翼(誤魔化すように)「いや、なんでもねぇよ。……でも、無理しすぎんなよ」
紗菜(キッと睨んで)「言われなくても分かってる」
そう言いながらも、翼の言葉がなぜか心の中に残る。
“無理しすぎるな”――そんなことを言われたのは、いつぶりだろう。
けれど、紗菜はすぐに頭を振り、目の前のダンスに集中することにした。
紗菜(モノローグ)
「負けない……絶対に」
体育館の夕陽が、二人の姿を長く伸ばしていた――。
放課後の体育館。空気が少しひんやりしてきた頃、紗菜はステップの練習をしていた。
ふと、背後から声がかかる。
翼「おい、三峰」
振り向くと、翼が腕を組んで立っている。
紗菜(少し驚きながら)「何よ?」
翼(ニヤリと笑って)「せっかく練習してるんだから、俺と一緒に踊ってみるか?」
紗菜(眉をひそめて)「何言ってんのよ、急に」
翼(肩をすくめながら)「いや、せっかくなら本番の前にお前がどれくらいできるか見たくてな。お前、案外悪くない踊りしてるし」
紗菜(警戒しながら)「……そんなこと、別にどうでもいいでしょ」
翼(無邪気に)「いやいや、やってみろよ。ほら、どうせならいい練習になるだろ?」
紗菜はしばらく悩むが、やがてため息をついて一歩前に出る。
紗菜「仕方ないわね。少しだけよ、いい?」
翼(ニヤリと笑いながら)「お、さすが三峰。じゃあ、行くぞ」
曲が流れ始め、二人は向き合う。紗菜は少し緊張した様子で足を踏み出すが、翼のリードに合わせるように動き始める。
最初はぎこちなかった二人のダンスも、次第に息が合ってきた。
翼の軽やかなステップに合わせて、紗菜も少しずつリズムに乗る。
翼(リードしながら)「そうそう、そこだ。意外といい感じだな」
紗菜(照れくさそうに)「うるさい、言うほど簡単じゃないわよ」
次第に二人の動きが滑らかになり、息もピッタリ合ってきた。紗菜は楽しそうな表情を浮かべ始める。
翼(楽しそうに)「なかなか上達してるな、三峰」
紗菜(少し照れながら)「……少しはやるでしょ」
そして、曲が終わると同時に、紗菜はそっと翼の手を振り払った。
紗菜(少し息を整えながら)「……別に、悪くはなかったわ」
翼(得意げに)「だろ? 俺のリードが完璧だったからな」
紗菜(ムッとして)「違うわ。私がちゃんと踊れたからよ」
翼(ニヤリとしながら)「へぇ、じゃあ次はお前がリードしてみる?」
紗菜は一瞬、言葉に詰まる。ダンスの基本は覚えたが、リードするのはまた別の話だ。
そんな紗菜の反応を見て、翼はクスッと笑う。
翼「ま、今のままじゃ俺には勝てないってことだな」
紗菜(悔しそうに)「……まだ勝負は終わってないわ」
紗菜は再びスマホの曲を流すと、練習を再開した。
一人での練習は先ほどよりもぎこちないが、それでも懸命にステップを踏む。
その姿を、翼は腕を組んで見守っていた。
翼(ぽつりと)「本当に努力の人だよな、お前は」
紗菜(聞き取れず)「え?」
翼(誤魔化すように)「いや、なんでもねぇよ。……でも、無理しすぎんなよ」
紗菜(キッと睨んで)「言われなくても分かってる」
そう言いながらも、翼の言葉がなぜか心の中に残る。
“無理しすぎるな”――そんなことを言われたのは、いつぶりだろう。
けれど、紗菜はすぐに頭を振り、目の前のダンスに集中することにした。
紗菜(モノローグ)
「負けない……絶対に」
体育館の夕陽が、二人の姿を長く伸ばしていた――。



