惚れさせゲーム

〇 三峰家・リビング（深夜）
時計の針はすでに深夜を回っていた。部屋の明かりは優しく灯り、スマホから流れる音楽が静かな家の中に響いている。

紗菜は汗をかきながらも、必死に足を動かしていた。

紗菜（息を切らしながら）「はぁ……はぁ……少しは、マシになった……？」

鏡代わりにしている窓ガラスに映る自分の姿を確認する。ようやく基本のステップはスムーズに踏めるようになってきた。

だが、鏡越しの自分の表情を見て、紗菜はため息をつく。どこかぎこちなく、楽しんで踊っているようには見えない。

紗菜（モノローグ）
「……こんなんじゃ、翼には到底勝てない」

ダンスはただの動きではない。"魅せる"ものだと、翼の踊りを見たときに痛感した。ただステップを覚えるだけでは、勝負にはならない――

その思いを胸に、紗菜は踊り続ける。少しでも翼に近づくために、一歩でも前に進むために。

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〇 学校・体育館（放課後）
翌日、放課後の体育館。紗菜はイヤホンをつけ、動画を見ながらステップの練習を繰り返していた。昼休みや授業の合間にも、できる時間はすべて使って練習している。

そんな紗菜の様子を、体育館の隅から遠くの席でじっと見つめる視線があった――

桃瀬翼（腕を組みながら）「へぇ……三峰が体育館で練習なんて珍しいな」

隣にいる谷村和樹がニヤリと笑う。

谷村和樹「マジで本気なんじゃね？ ダンスパーティーの勝負」

翼（くすっと笑って）「……そりゃ、面白くなってきた」

翼の瞳が、どこか楽しげに輝く。

翼（モノローグ）
「本気の三峰か……。どうなるかな。」

果たして、勝負の行方はどうなるのか――