惚れさせゲーム

○学校・体育館(試合後の熱気の中)

試合後の興奮が冷めやらぬ体育館。
響く歓声の中、翼は満足げに紗菜の元へ歩み寄り、その顔にはいたずらっぽい笑みを浮かべていた。

翼(ニヤリと笑って)「なあ、三峰」

紗菜(警戒しながら)「……何よ」

翼(自信満々に)「次の勝負、決めようぜ」

その言葉に、クラスメイトたちが一斉に反応し、ざわめきが広がる。

クラスメイトA「おお! 次の勝負くるのか?」

クラスメイトB「なんだかんだで、こいつらの勝負、面白いんだよな」

紗菜は腕を組みながら少し考えるように見せる。普段ならすぐに「もういいでしょ」と一蹴するはずだが、
何故か心の中には高揚感が湧いてくる。

紗菜(モノローグ)
「……まさか、楽しみにしてる? 私が?」

自分の気持ちに気づかないふりをし、あえて冷静な表情を崩さずに翼を見つめる。

紗菜(ため息交じりに)「ふぅん、で? 次は何をするつもり?」

翼(ニヤリと笑って)「次の勝負は――料理対決だ!」

その言葉が体育館に響き渡り、再びざわめきが広がる。

クラスメイトC「料理!? なんか急に文化的になったな」

クラスメイトD「でも、どっちが料理うまいんだ?」

クラスメイトE「いや、そもそも桃瀬って料理できるのか?」

周囲の反応をよそに、紗菜は翼をじっと見つめた。

紗菜(疑いの目で)「……あなた、料理なんてできるの?」

翼(胸を張って)「任せろ、男の料理ってやつを見せてやる!」

その言葉を聞いた瞬間、紗菜の心には嫌な予感が走る。絶対に料理ができるタイプの男ではない。

紗菜(呆れたように)「……どうせ、目玉焼きくらいしか作れないんでしょ」

翼(図星を突かれたように目を逸らし)「…………ま、まあ、それはやってみないと分からないだろ!」

紗菜(ため息をついて)「はぁ……やるだけ無駄な気がするけど」

しかし、ここで断ったら負けたみたいで悔しい。何より、この勝負に勝ったらまた翼をギャフンと言わせられる。

紗菜はしばらく考えた後、小さく頷く。

紗菜(真剣な表情で)「いいわ。受けて立つ」

その瞬間、翼はガッツポーズをし、満面の笑みを浮かべる。

翼(嬉しそうに)「よし! じゃあ、決まりな!勝負は来週の家庭科の授業で!」

周囲から拍手が巻き起こり、クラスメイトたちも次の勝負を楽しみにしている様子だった。

こうして、次なる対決――料理対決が幕を開けることとなる。