惚れさせゲーム

〇 学校・体育館(バスケットボールの試合中)
試合開始のホイッスルが鳴ると同時に、紗菜は素早く動き出した。
相手チームのディフェンスを冷静にかわしながら、ボールの行方を正確に追う。
一方、翼も余裕の笑みを浮かべつつ、華麗なドリブルで味方にパスを繋ぎ、着実に得点を重ねていく。

翼(余裕の笑みで)「へえ、思ったより動けるじゃん、三峰」

紗菜(息を整えながら)「当然でしょ。私は勉強だけじゃなく、運動もできるの」

そう言うや否や、紗菜は翼の視線を見据え、一瞬の隙をついて相手のパスをカットする。
ボールを手にした瞬間、彼女の動きはさらに鋭さを増した。
ドリブルで相手のディフェンスを抜き去り、ゴール前へ駆け抜けると――

スパッ!

綺麗な弧を描いたボールが、まるで吸い込まれるようにリングを通過した。

先生(笛を吹きながら)「ナイスシュート! 三峰、いいぞ!」

クラスメイトA「やばっ、三峰めっちゃ上手いじゃん!」

クラスメイトB「翼とほぼ互角…どころか、今のとこ勝ってね?」

試合が進むにつれ、紗菜の圧倒的な活躍が際立ち始める。
翼も得点を決めるものの、それ以上に紗菜の動きが研ぎ澄まされていた。
彼女の鋭い読み、冷静な判断力、正確なシュート。
まるで難解な数学の問題を解くように、一つ一つのプレーを完璧にこなしていく。

翼(苦笑しながら)「おいおい、マジかよ。バスケ部でもないのに、こんな動きするなんて反則だろ」

紗菜(ニヤリとしながら)「まさかもうギブアップ?」

翼(悔しそうに)「するわけねえだろ!」

しかし、残り時間が刻一刻と減っていく中、翼の額にはうっすら汗が滲んでいた。
焦るな――そう思っても、紗菜の勢いを止めることができない。
彼女は冷静に翼の動きを読み、彼の攻撃の一歩先を行くプレーを続けていた。

そして試合終了間際、決定的な瞬間が訪れる。

翼が放ったシュートが、わずかにリングを外れる――

そのボールを紗菜が即座にキャッチ。
誰よりも素早く動き出し、一気にカウンターへと持ち込む。
そして、誰もが見守る中、紗菜は完璧なフォームでシュートを放った。

スパッ!

ボールは綺麗にゴールネットを揺らし、試合終了の笛が響く。
体育館内には、一瞬の静寂――

次の瞬間、クラスメイトたちの歓声が爆発した。

クラスメイトA「三峰、やっば!!」

クラスメイトB「翼が負けるなんて、初めて見た!」

翼は膝に手をつき、軽く息を整えながら苦笑する。

翼(肩で息をしながら)「……完全にやられたわ」

紗菜(勝ち誇った表情で)「はい、私の勝ちね。言ったでしょ? 私に負けるって」

翼(苦笑しながら)「はは……そうだったな」

クラスメイトたちの騒ぎをよそに、紗菜は満足そうに腕を組む。
今日の勝負は、文句なしの圧勝。
そして――次は、翼がみんなの前で敗北宣言をする番だった。