惚れさせゲーム

〇 放課後・英語部の部室
部室のドアを開けると、すでに数人の部員たちが集まっていた。
壁には英語のポスターや単語カードが貼られ、隅には洋書がぎっしり詰まった本棚がある。
英語部は、学校行事のスピーチコンテストや英会話の練習をする文化系の部活だ。

紗菜(冷静に)「……で? どういう罰ゲームなの?」

翼(ニヤリとしながら)「簡単だよ。今日の英語部の活動に、"俺と一緒に"参加すること」

紗菜(怪訝そうに)「それだけ?」

翼(楽しそうに)「いやいや、そんなわけないだろ。ちゃんと英語での課題がある」

そう言って、翼は部長である上級生の女子に向かって手を上げた。

翼(フレンドリーに)「先輩、俺たちも今日の活動に参加していいですか?」

英語部部長(にっこりと)「もちろん! ちょうど新しいペアワークをするところだったのよ」

その瞬間、紗菜は嫌な予感がした。
そして、部長の次の一言で確信する。

英語部部長「じゃあ、桃瀬くんと三峰さんはペアね!」

紗菜(小声で)「……やっぱり」

翼(ニヤリとしながら)「いいじゃん、楽しもうぜ?」

紗菜(ため息交じりに)「あなたの"楽しもうぜ"が一番信用ならないのよ」

しかし、もう決まってしまった以上、逃げることはできない。
ペアワークの内容は、二人一組で英語のスキット(寸劇)を即興で作り、発表するというものだった。

英語部部長「テーマは『告白』ね!」

紗菜&翼(同時に)「は?」

英語部部長(楽しそうに)「ロマンチックなシチュエーションを考えて、英語で会話してみてね!」

その瞬間、部室の空気がざわめく。
部員たちが興味津々といった表情で二人を見つめていた。

翼(ニヤリと)「へぇ~、これは面白いな」

紗菜(ジト目で)「全然面白くないわよ……」

翼(余裕の笑みで)「お前、英語は得意だろ? なら、問題ないじゃん」

紗菜(ムッとして)「そういう問題じゃないの」

だけど、ここで拒否すれば「負け」を認めるようなものだ。
紗菜は深く息を吐くと、開き直ることにした。

紗菜(冷静に)「……分かったわ。やるからには、完璧にやるわよ」

翼(ニヤッと笑って)「お、それでこそ三峰紗菜」

こうして、"罰ゲーム"のはずの英語部の活動は、まさかのロマンチックな即興スキットへと発展していくのだった――。