惚れさせゲーム

〇 昼休み・教室
テストが返却され、ひとまず勝負は引き分け。
だけど、紗菜の中にはまだモヤモヤとした感情が残っていた。

紗菜(モノローグ)
「次こそは、絶対に勝つ……」

そんなことを考えながら、紗菜はいつものようにお弁当を取り出す。
すると――

???「よっ、桃瀬。お前、また三峰とやり合ってたんだって?」

ひょいっと翼の机に腰掛けるようにして現れたのは、谷村和樹だった。
短めの黒髪に、爽やかな笑顔。
サッカー部のエースで、翼とは小学校の時の親友らしい。

翼(面倒くさそうに)「お前、相変わらず話が早いな」

和樹(ニヤニヤしながら)「そりゃあな。お前と三峰の勝負のこと、クラスの連中が楽しそうに話してたからな」

その言葉に、紗菜は思わずピクリと眉を動かす。
いつの間にそんなに広まっていたのか……

紗菜(冷静に)「別に、大したことじゃないわ」

和樹(面白がるように)「へえ~? でも100点で引き分けって、相当なことじゃね?」

翼(ニヤリとしながら)「まあな。でも、次は俺が勝つから」

紗菜(即座に反論)「いいえ、次は私が勝つわ」

ぴしゃりと言い放つ紗菜を見て、和樹は肩を揺らして笑う。

和樹(楽しそうに)「いや~、いいねえ。こういうライバル関係って青春って感じでさ」

翼(苦笑いしながら)「お前に言われると、なんかむず痒いんだけど」

和樹(にやりとしながら)「で、桃瀬はどうやって三峰を惚れさせるつもりなんだ?」

その一言で、紗菜の手がピタリと止まる。
翼はちらりと紗菜の方を見て――

翼(悪戯っぽく)「さあな。それはお楽しみってことで」

和樹(わざとらしく)「おっと、もしかしてもう何か作戦があるとか?」

紗菜(ムッとして)「……くだらない」

和樹(ニヤニヤしながら)「お、動揺してる?」

紗菜(ピシャリと)「してないわ」

それを見て、翼はクスッと笑う。

翼(余裕の表情で)「ま、これからじっくり攻めるつもりだから」

和樹(面白がりながら)「はは、三峰、大変だな」

まるでからかうように笑う和樹と、余裕たっぷりの翼。
それに対して、紗菜は内心ムカムカしながらも、静かにお弁当を食べ続けるのだった――。