雪くんは、まだ足りない。








遊馬くんに連れられて家路とは反対方向の電車に揺られること10分ほど。


そこからは…なんだか複雑に細い裏道をいくつも通ってたどり着いたのは綺麗なビル。


見上げるほど高いそこはオフィスビル…と言うには大通りから外れすぎてる。




「蘭ちゃん、行くよ」


「うん…」




なんなんだろ、ここは。
手を引かれてドアをくぐり、すぐ目の前にあったエレベーターに乗り込む。



34まで番号があるボタンの34を迷いなく押す。


え!最上階…?


エレベーターが止まり、扉が開く。




「総長、お疲れ様です」


「お疲れ」




1人の男の人が頭を深く下げ、遊馬くんに挨拶をしたのを見て1歩後ずさる。