雪くんは、まだ足りない。


ましてやわたしに。


他に可愛い人とか綺麗な人がいるんだから。
でもそう思うと…胸が苦しくなるのはなんで。




「ごめん、意地悪な事聞いた。…ほら行こ」




そう言って私の手を握り歩き出す。
廊下の外に居た女子生徒たちの隣を通り過ぎた時、痛いくらいの視線を感じたけど見ないようにした。


背を向けてもなお感じるんですけど…。
それにすごい数の人。


それくらい遊馬くんは人気なんだな…。


繋がれたてから伝わる熱に今また手を繋いでるんだって再認識すると、顔から火が出そうになる。


繋がれた手の方は見ないように、引かれるままついて行った。