雪くんは、まだ足りない。


わたしに聞こえるくらい小さな声で言った涼乃ちゃんに戸惑いながらも頷く。


結局何がそんなに面白かったのか教えてもらう前に手を振って教室を出る2人に手を振り返すしかなかった。




「蘭ちゃん」




わたしの名前を呼ぶ遊馬くんの方を見る。




「俺のこと、好きなの?」




いきなりの言葉に思考が止まり…言った意味を理解すると体が熱くなる。


だいぶ前から話聞いてたんだ…!!
涼乃ちゃんがそんな話し始めるからっ。


遊馬くんの言ってる好き、は友達としての話?
それとも…。


なーんて。


こんなかっこよくて学校に来るだけであんなたくさんの女子生徒に囲まれる遊馬くんが、後者の意味で聞くわけないよ。