雪くんは、まだ足りない。


頬を染めた女子生徒に話しかけられて、微笑みながら何か話している遊馬くん。
遠くからでも長身なこともありすごく目立っている。


“「蘭ちゃんは、俺のこと知りたい?”


真剣な眼差しを思い出して顔が火照るのを感じた。


…教室に入ろ。
ずっと考えてたら混乱しそう…。


教室の方に体を向け入ろうとした瞬間、目の前にいた人にぶつかりそうになる。




「ごめんなさ」


「らーーんーー?」


「す、涼乃ちゃん…おはよ……」




目の前の人は涼乃ちゃんで、その後ろに伽耶ちゃんが立っていた。


涼乃ちゃんはすごく嬉しそうな顔でニヤニヤしながらわたしに顔を近づけてくる。