雪くんは、まだ足りない。



「そんなにすぐ赤くなってたら」


「…っ」


「男は勘違いしちゃうよ」




何を勘違いするの?
勘違いって…?


わたしがきょとんとしてるとまた鼻で笑う。




「あ、あの…」


「ん?」


「…遊馬くん、は…昨日の夜なんであそこに居たの?」


「知りたい?」




聞いたらさらっと答えてくれるかと思ったのに。
質問で返されてしまった。




「蘭ちゃんは、俺のこと知りたい?」




遊馬くんのこと。


助けてくれた夜、遊馬くんの背中越しには倒れた4人の男の人がいて…。


わたしが勇くんと話してるほんとに一瞬の間に…倒してしまった。


目の前の人のことをわたしは何も知らない。