雪くんは、まだ足りない。


…後ひと駅!


という所で1つ手前の駅でドドドッと人が流れ込んできて前の人の鞄に押しつぶされそうになった。




「危ない」




わたしの前に壁のように庇ってくれたのは遊馬くん。


背中側には出入口の扉、目の前には遊馬くんの胸板。
壁ドンをするように両手をわたしの顔の横につく。


こ…これは近すぎるのでは!?


ドキドキと高鳴る胸と重なる視線。
動き出す電車に体が揺れ、遊馬くんがより近づく。


近い近い近い近い!!
かっこいい顔が近くにーー!!




「…ふっ」


「なんで笑ってるの…っ」


「蘭ちゃんはすぐ顔赤くなるね」




こんな近くで見つめられたらそりゃ顔赤くなるでしょ!
きっと誰だって、遊馬くんみたいなかっこいい人にこんな至近距離に居られたら!