雪くんは、まだ足りない。


頭の上でアラームの鳴る音。


…あー、もう朝?
起きなきゃ、今日は…遊馬くんが学校に。




「蘭ーっ」




はーい、わかってるよー…。
もう起きるからー…。




「雪くん来てるわよー!!」


「………えっ!」




お母さんの声にベッドから勢いよく起き上がる。


眠気に負けて閉じかけていた目もしっかり開いて、何も考えず部屋から出る。


玄関には制服姿の遊馬くん。


ほ、ほんとに遊馬くんが居る…。
いやいや!でもなんで?


昨日のこともあり顔に熱がこもっていく。




「おはよ、蘭ちゃん」


「お…おはよ…」




いつも通りの微笑みにやっぱり昨日会ったのは遊馬くんのそっくりさんだったんじゃ…と思ってしまう。