雪くんは、まだ足りない。


遊馬くんは、どこか行っちゃうの?


途端に膨れ上がる不安に押し潰されそうになる。




「またね、蘭ちゃん」




背中を向けて公園から出ていく遊馬くんの…服の裾をわたしは掴んでしまった。


自分でもこんなことするなんて…信じられない。


ましてや関わりたくないって思って、できるだけ避けてきた人だったのに。


ほんとに…どうしちゃったんだろうわたし。




「……蘭ちゃん?」


「えっと…あの、これは…なんでもなくてっ」




遊馬くんが振り返ってわたしの方を見てる…っ。
なんてことしたんだわたし!!


誤魔化すようにそう言いながら、裾から手を離して引っ込めようとした手を掴まれ引き寄せられる。