雪くんは、まだ足りない。


そう思うとなんだか苦しくなった。


まただ…今日のお昼休みに感じた気持ちと一緒。


遊馬くんのことを考えると…いつも。


遊馬くんは背中に回していた手をわたしの頬に添えて、涙を拭って微笑んだ。


相変わらずかっこいいなあ…




「…コホンッ、そろそろ別の場所行った方がいーんじゃね?」




咳払いをする勇くんの声に我に返ったわたしは、遊馬くんと距離を取るために離れる。


は、恥ずかしすぎる…っ。
人前で抱き締めるなんて……。




「蘭ちゃん、勇に家送って貰って」


「え…」


「また1人で夜遅く歩いてたら怒るから」




わたしを見て言った後、「勇、蘭ちゃん頼んだ」と声をかける。