その言葉を聞くなりひっと声を上げて掴まれていた手が自由に動かせるようになる。
助かった…?
「宮近さん、大丈夫?」
「へ…?…勇…くん?」
わたしの肩に手を置いて背中をさすってくれているのは、確かに涼乃ちゃんが好きな勇くんだった。
にこ、と笑った勇くんの笑顔で一気に涙が溢れてくる。
「…ふぇ…っ」
「あー!!泣くな泣くな!今泣いたら俺が遊馬に」
慌てる勇くんにそう言われたけど涙は止まらない。
だけど…今…遊馬って言わなかった?
「そこどけ」
また低くて怖い声が今度は頭の上から聞こえた。
肩と背中に触れていた勇くんの体温が離れていく。


