雪くんは、まだ足りない。



「俺の女に何してんだって聞いてんだよ」




どこかで聞いたような声に閉じかけていた目を開ける。


街頭に照らされてオレンジ色に染った髪の毛。


キラリと光ったピアスは1つじゃない。




「誰だてめぇ」


「おいっ、やめとけってそいつ、は…」




言いかけた人はその場に倒れ込んでしまった。


それを見たわたしを囲んでいた男の人は身構える。


だれ…?
顔がよく見えない。


敵なのか味方なのか、それもわからない。




「そろそろその子から離れた方がいいんじゃない?」


「え…」


赫夜(かぐや)の総長の女だから、殺されるよ」




わたしの後ろからまた聞いたことのある男の人の声。