雪くんは、まだ足りない。


大きな手で口を塞がれて、声が出せなくなってしまった。


身動きも取れない…誰かに助けも呼べない。
絶望的な状況に血の気が引いていく。


服の中をだんだんと上へと伸ばされる手。


目の前が涙で滲んで歪む。


せめて見えるものを見ないように目を閉じた。




「おい…待て、この女───」


「何やってんだよ」




1人の男の人がそう言った瞬間。


今までに聞いたことないほどの低く殺気に満ちた声が聞こえた。


…なに…?
動きが止まった…?


薄目を開けてみると少し離れたところに背の高い人影が見えた。


この人たちの仲間?


そんな考えが頭をよぎってまた目を閉じようとした時。