わたしの気持ちに気づかないお母さん達は簡単に約束をしてしまった。
…あ…。
その約束はまずいのでは…。
「じゃあ来週はわたしが腕奮っちゃおうかなっ」
「わー!沙彩ちゃんのご飯楽しみすぎる!」
ドラマが終わるまで毎週遊馬くんの家でご飯が食べるってことだよね…?
…よし来週の今日はなにか予定作ろう。
涼乃ちゃんと伽耶ちゃんと放課後どこかに…
「蘭ちゃんも来週来るわよね!」
「え………はい…!」
「…ふっ」
キラキラの笑顔で遊馬くんのお母さんに聞かれると断れるわけもなく…。
そんなわたしを見て遊馬くんが鼻で笑う。
これからのことを思うと少し胃が痛くなる。
手の甲に残った柔らかい感触はいつまでたっても消えてくれなかった。


